宮殿の中を進んでいくと、壁・天井・柱の美しさに目を奪われる、のだが、
なぜそこにあるのか分からないものもあった。
この写真、一見きらびやかな部屋を写しているだけに見えるが、右下に変なものが写り込んでいる。
その正体は・・・
なんと巨大な風船プードル!しかもメタリック!こんなものがあることは、ガイドブックにも当然書いていないし、全然知らなかったので、最初は唖然としてしまった。
しかも、宮殿に元々ある絵や壁や柱はほとんど何も保護されておらず、触ろうと思えばいくらでも触れる状態なのに、このフーセンは手で触れられないよう、かなり広い範囲を仕切り立ち入り禁止にされている。ただのガラクタではなく、仰々しく作者名や、作成年などが書かれたプレートも置いてある。何とかにインスピレーションを受けて作られた、とかなんとか、そんな説明まであるが、ギャグにしか見えない。
他の見学客は、最初はなんだなんだという感じでフーセンを眺めるものの、その後は天井や絵を一生懸命鑑賞し、誰も気にとめていないように見える。自分たちも変なメタリックプードルは気にしないようにしていたが、次の部屋に進むと・・・
今度は銀のメタリックウサギフーセン(これはフーセンじゃないかも?)が台座付き、しかもアクリルケースで保護された状態で置かれている・・・。まあ、このぐらい保護しないと、誰かがすぐ割ってしまうだろう。
下の写真は猿を抱くマイケル・ジャクソン、
そしてこれが極めつけ、天井からぶら下がるビニール製ザリガニ。
これなど、レジャー用で普通に売っていそうな代物だ。それが、シャンデリアと同格のような感じでぶらさがっている。いったいヴェルサイユ宮殿側は何を考えているのだろうか。理解できない。
これ以外にも、アメリカのコミックから飛び出てきたような大きな熊と警察官が並んだ人形や、巨大なドラム式洗濯機(縦7メートル、横5メートルぐらい)の模型とか、色々あった。
多くの人は眉をひそめたり、目もくれなかったり、あまり興味はなさそうだったが、途中椅子で休憩していたら、外国人男性二人がザリガニか何か、ガラクタを指さしながら英語で
" What do you think about this? "
" Yeah..., it's very good."
と真顔で話していてびっくりした。
帰国後調べてみたら、これらはすべてジェフ・クーンズというアメリカのアーティストの作品らしく、今年の9月10日から12月14日までの、期間限定の特別な展覧会であるようだ。
よりによってその期間中に行くことになるとは。運が良いんだか、悪いんだか。
2008年12月26日金曜日
フランス旅行その12~ヴェルサイユ宮殿内部の奇怪な展示~
2008年12月23日火曜日
フランス旅行その11~ヴェルサイユ宮殿へ~
フランス旅行6日目はヴェルサイユ宮殿へ。観光バスで行く方法もあったけれど、電車で行くことにした。ホテルからサン・ラザ-ル駅(Gare Saint-Lazare)まで歩き、そこから電車一本でヴェルサイユの駅(Versailles Rive Droite)まで行ける。
サン・ラザ-ルの駅は、地下鉄の駅とは違ってかなり駅舎内が混雑しており、また改札口がなく、誰でも出入りできるようになっている。ロンドンでも地下鉄は改札があり、鉄道は改札がなかったから、ヨーロッパはそういう文化なのかもしれない。
さらに驚いたことに、どの電車が何番線から出るのかが直前になるまで分からなかった。電光掲示板に出発時刻、行き先と何番線からの出発かが表示されるのだが、今回乗った電車は発車時刻の1分前にようやく何番線かが表示された。表示されるやいなや、大勢の人々が小走りで向かっていく。
思い切り手ブレしているけれど、サン・ラザ-ル駅はこんな感じ。
平日で、8:30発の電車だったからか、車内はまあまあ混んでいた。といっても日本の通勤電車のような非人道的混雑では全くなく、立っている人同士が触れあわずにすむぐらい。
途中カンツォーネが聞こえきた。どうやら同じ車両の少し離れたところにいるオッサンが歌っているようだ。妻は「スピーカーから流れてるんじゃない?」と言うが、いくらなんでもそんな陽気な電車があるわけない。案の定、La Defence駅でオッサンがチップをもらい回っていた。日本の通勤電車だったら、瞬時に摘み出されるだろう。
そのLa Defenceはオフィス街のようで、大勢降車していった。以後立っている人はほとんどなし。
パリから40分ほどでヴェルサイユの駅に着いた。途中検札が回ってくることもなく、ヴェルサイユの駅にも改札はなかったから、いくらでもキセルができる。こんなので採算が取れているのだろうか?
サン・ラザ-ルから乗ってきた電車、ヴェルサイユの駅にて
ヴェルサイユの駅からヴェルサイユ宮殿までは、さらに20分ほど歩かなくてはいけない。駅周辺は特にパリと大きな違いはない。ヴェルサイユ宮殿が近くなると、立派な並木道があらわれ、その並木道の向こうに宮殿が見えてくる。
さっそく写真を撮ってみたが、宮殿が大きすぎて、広角レンズでも入りきらない。
どこからが宮殿の敷地なのかよく分からないが、外壁らしき部分もゴージャス(写っている人は一見衛兵のようにも見えるけれど清掃人)。
宮殿内に足を踏み入れてすぐに、息をのむような美しい礼拝堂がある。この礼拝堂は入り口から先は立ち入り禁止になっており、入り口は写真を撮ろうとする人で人だかりになっていた。
・・・と、ここまでは良かった。が、この先にすさまじいものが待ち受けていた・・・。
2008年12月15日月曜日
フランス旅行その10~コンシェルジュリー、オランジェリー美術館~
フランス旅行5日目の続き。
ルーヴル美術館を出たのがちょうどお昼ぐらいだったので、次の観光スポットに行く前に昼食を食べることにした。
フランスでは、モン・サン・ミッシェルで食べたプレ・サレがなかなかおいしかったなというぐらいで、パリではどの食事もごく普通、という印象だった。せっかく美食の都パリにいるわけだから、ここらでおいしい食事を食べなければ!と意気込み、日本から持ってきたパリのレストラン本『パリでひとりごはん とっておきのおいしいお店72軒』で、地元の人々に超人気の店として紹介されていた「le comptoir」に行くことにした。
お店に着いたのは12:40頃。遠くから見ただけでもかなりにぎわっていることが分かる。並ぶことを覚悟していってみたが、ぎりぎりすぐに入ることが出来た。
席について出されたメニューはフランス語のみ。完全に地元客向けのレストランだったのかもしれない。とにかくメニューがさっぱり分からない。同じく日本から持ってきた『食べる指さし会話帳6 フランス』の巻末についていた食事関係の単語一覧と一つ一つ照らし合わせ、20分ほどかけて注文を決めた。日本の人気店でそんなことをしていたら店員に嫌な顔をされそうだけれど、ここでは急かされるようなことはまったくなかった。
結局頼んだのは、フォアグラをどうにかした料理(カナード)と、魚を使ったグラタンのような南仏料理、そしてタコの入ったサラダ。おいしいことにはおいしいが、感激するほどではない。デザートも頼んでみたが、糖尿病を心配したくなるほど甘かった。がっかりというほどでもないけれど、複雑な気分。
ただ、ここで初めてガスミネラルウォーター(ペリエ)を頼んでみたが、それはとってもおいしく感じた。フランス料理に合うのかもしれない。なぜかペリエのラベルにはアニエス・べーのロゴも入っていた。
昼食後、最初に向かったのは刑務所(コンシェルジュリー)。マリー・アントワネットが断頭台に連行される前まで収容されていた場所らしい。
刑務所は後味があまりよくなかったので、気分を変えるためにオランジェリー美術館へ向かった。モネの睡蓮が展示されていることで有名らしい。電気の照明ではなく、自然光での展示を遺言で指定していたらしく、なかなか展示する場所がなかったところを、オレンジ園を改造してモネの睡蓮を展示できるようにしたのがここ。
モネ以外にもいろいろな作品があったが、展示数はそう多くなく、1時間もあればゆっくり見て回れる感じ。中には変わった絵もあった。
オランジェリーを出ると、何やらニュース番組のリポーターのような人と撮影スタッフらしき人たちがいた。バンの前では寝っ転がってるスタッフもいるから、まだ本番までは時間があるのかもしれない。
エッフェル塔も遠くに見える。望遠レンズで撮ったらなかなかいい感じになった。
2008年12月11日木曜日
フランス旅行その9~ルーヴル美術館~
フランス旅行5日目は、朝イチでルーヴル美術館へ。
開館と同時に入ればあまり混んでないらしい、と妻が言うので、開館時間の午前9時に間に合うようホテルを出発。ホテルからは歩いて十数分程度の距離。美術館近くで地下道に入るとスムーズに行ける、とこれまた妻が言うので地下道入り口を探す。
美術館入り口についたときには、既に入場が始まっており、チケット売場は長蛇の列。自分たちはあらかじめ様々な美術館で使えるミュージアムパスを買っておいたので、チケットを買う必要はなく、スムーズに入場できた。
妻の目当ては、サモトラケのニケ、ミロのビーナス、モナリザと、ナポレオンの戴冠式とのこと。まずニケを見たいということで、その方向に行ってみると、すぐに見えてきた。
なんだか本当に飛び立ちそうな感じに見える。妻は感激して写真を撮りまくり、聞いてもいないのに勝手に解説してくる。自分はこの彫像をあまりよく知らず、妻が「サモトラケのニケ、サモトラケのニケ」と言っているのが聞き取れなくて、10回くらい聞き返した。
ルーヴル美術館はフラッシュをたかなければ写真撮影OK。後になって、他の美術館もそういうところが多いと分かってきたが、このときはちょっと驚いた。日本の感覚だと、写真撮影禁止が当たり前だけど、ヨーロッパの美術館は寛大だ。そういえば、イギリスの大英博物館も写真OKだった。
そうこうしているうちに、ニケ像の周りはかなりの人だかりになってきた。のんびりしてたらモナリザもすごい混雑になりそうなので、早足でモナリザ方面へ。
教科書に出てきそうな絵がごろごろかかっているが、他の来場者も立ち止まることなく、足早にモナリザ方面に向かっている。
ルーブル美術館はコの字型の3階建てで、とてつもなく広い。しかし、モナリザ方面へは手元のパンフレットに目を落とすことなく行くことができる。なぜなら、至る所に道しるべとしてモナリザの白黒写真が貼られているから。
モナリザのかかっている場所は、すでに大勢に取り囲まれていてすぐに分かった。モナリザだけ、他の絵とは違って、絵から半径5~10メートルぐらいのところ(かなり遠く感じた)に立ち入れないようロープが張られ、そのロープ沿いにびっしり人がへばりついている。遠くて肉眼だと細かいところは全然分からない。写真も、ズームにしないと大きくとれず、ズームにすると手ブレしやすい、ということであまりうまく撮れず。もう少し近くで見たかった。残念。
ナポレオンの戴冠式の絵は、混雑してはおらず、近くで見ることもできたが、とにかくサイズが大きい。これはこれで、大きすぎて写真はうまく撮れない。
その後館内をぶらぶら見ていると、絵の模写をしている人や、小学生のグループが絵の説明を受けたりしていた。
女性が模写しているのは、ラ・トゥールという画家の『大工の聖ヨセフ』という、これも有名な絵らしい。キリスト教徒の妻は登場人物、背景、状況、意味合いを教えてくれる。聖書とシェークスピアを知らなければ西洋は理解できない、とよくいうけれど、確かにそうかもしれない。
最後にミロのビーナスを見に行くと、モナリザほどではないものの、人だかりになっている。ここでまた妻は写真を撮りまくり、カメラを離さない。どうも妻は彫像が好きなようだ。
妻は、「写真で見るよりずっと美人だねー」と魅入っている。確かによく見ると女性だ。自分はミロのビーナスとは思わず、てっきり男だと思って見ていた。
この後また行くところがあるので、午前中のうちにルーヴル美術館を出た。来た時の地下道ではなく、美術館入り口からすぐ地上に上がると広場になっていて、みんなあちこちで記念写真を撮っている。そんな中で面白いTシャツを着た外国人旅行客がいた。
本人は意味を分かった上で着ているのだろうか?別に日本語として変なわけではないけれど、かなり面白かった。
2008年12月3日水曜日
フランス旅行その8~ノートルダム大聖堂/サント・シャペル~
ビオ・マルシェに行った後、近くのデパートへ。
実は前日の夜、妻のスニーカーが壊れていることが発覚。
妻は半泣き。妻をなだめすかして、デパートに行こうと話していた。
ガイドブックで調べると日曜はほとんどの店が閉まっていて、唯一開いているのがボン・マルシェ(Bon Marche)というデパートだった。
秋の感謝祭だかで安売りをしており、パラブーツというメーカーの革靴を購入できた。
フランスの店員は、聞きかじっていた通りアドバイスが実に的確でブレがなく、途中言いたい英語が出てこず汗だくになりつつも、気持ちのよい買い物が出来た。
後でこのメーカーはフランスブランドということを知り、妻は思わぬお土産が買えたと喜んでいた。
その後、日曜日でも行けるところということで、ノートルダム大聖堂(ノートルダム寺院)へ。
地下鉄でノートルダム大聖堂の南側数百メートルのところまで移動、そこから北に歩いてセーヌ川に出ると、すぐ対岸に見える。
対岸から橋を渡りきるあたりで撮った大聖堂。
大聖堂の入り口は観光客が長蛇の列をなしていた。
入り口に向かって見るとこんな感じで、対岸側から見たのとはずいぶん違った形に見える(最初の写真でいうと、左側から見たところ)。
3つあるアーチ型の開口部のうち、向かって一番右側から入る。
アーチの部分は幾重にも人の姿が彫られていて、なんとその一人一人が全部違う形をしている。
中は少し暗く、手ブレしないように撮るのが大変だった。本当は写真よりももう少し明るかったところを、露出をマイナスにして暗めに撮ってようやく、という感じ。
ちょうどミサが行われているところで、たくさんの人がお祈りをしていた。
有名なバラ窓。
写真では窓以外は真っ暗に写るけど、肉眼では真っ暗な訳ではない。
教科書で同じような写真を見て以来ずっと、真っ暗な中に浮かび上がるのかと思っていたけれど、そうでないことが分かった、と妻は言っていた。
ノートルダム大聖堂に続いて、サント・シャペルへ。妻の姉よりステンドグラスがとても綺麗、と聞いていたところ。
着いて中に入ってみると、1階は天井がそんなに高くなく(といっても3メートルぐらいはあるかな?)、ステンドグラスがたくさんあるわけでもない。それでも柱や天井はとてもきれい。昔はここが一般ピープル用の礼拝堂だったらしい。
そして2階に上がると・・・四方の壁すべてにステンドグラスがある!しかも天井が高く、その天井近くまでステンドグラスになっている。こちらは王侯貴族用の礼拝堂。身分制度のない時代に生まれて良かった。
古今東西の老若男女が、美しさにため息をつき見入っている。
外観はこんな感じで、きれいはきれいだけれど、華やかという感じではないし、ステンドグラスの部分は、ぱっと見てそれと全然分からない。中と外のギャップが面白い。
2008年11月27日木曜日
フランス旅行その7~ラスパイユのビオ・マルシェ~
モン・サン・ミッシェルからパリに戻ってきた翌日は日曜日。 日曜日にだけ立つ市があるというので行ってみた。 それがラスパイユ通りのビオ・マルシェ。
ビオというのはオーガニックという意味のようで、マルシェが市なので、ビオ・マルシェはオーガニックマーケットということになる。
ホテルを出て、バスに乗ってラスパイユ通り方面へ。パリのバスに乗るのはこれが初めて。一応車内アナウンスがあり、電光表示板もあったけれど、アナウンスは聞き取りづらく、電光表示は二つのバス停の名前を表示していて(次に停まるバス停とその次に停まるバス停?)、どこで降りればいいのか全然分からない。
何となくこのあたりだろう、というところで降車ボタンを押して降りたら、降りるべきバス停の一つ先の停留所だった。といってもラスパイユ通りまで歩いて3分ぐらいで、まったく問題なし。 下の写真は、バス停からラスパイユ通り方面に歩いている最中にとった写真。
この写真の通りを途中で左に曲がると、ラスパイユ通り。通りの真ん中に広めの中央分離帯のような歩道があり、そこにテントが200メートルぐらい?続いている。
テントによって売り物は様々で、野菜を売っていたり、岩塩を売っていたり、その場で軽食を作って出しているお店もある。
チーズだけを売っているお店もけっこうあった。クリーム専門店も。
結局、マルシェではジャガイモで作ったお好み焼きのようなものと、鶏肉とポテトのグリルを買って食べた。
マルシェの一帯には座れる場所が全然なかったので、他の通りでどこか座れるところがないか探していたら、とても変わった自転車が何事もなかったように駐輪してあった。いったいどうやったらこんなことになるのか。しかもしっかり鍵で街灯と固定してある。
この自転車のすぐ先には、フェンスに自転車のフレームだけ(チェーンもギアも、ハンドルもサドルもペダルもなし。平行四辺形状の、本当にフレームのみ)がくくりつけられていた。誰かがギャグでやったのだろうか。
これら自転車が展示されている近くに公園があり、ベンチがあったので座って鶏肉とポテトを食べたが美味だった。ポテトはかなり多く、また鶏の油がたっぷりかかっていて、かなり満腹。
ベンチで油ギトギトポテトをむさぼる自分たちの少し前では、そのまま会社に行けそうな格好をした人々(男性も女性もいた)が子供を砂場で遊ばせており、そこだけはドレスコードを守らないと入れないかのような緊張感が漂っていた。
しかし、ようやくこれでフランス旅行4日目。年内に全部載せきれるだろうか・・・。
2008年11月22日土曜日
フランス旅行その6~モン・サン・ミッシェルの羊(プレ・サレ)~
早朝の写真撮影の後はホテルに戻り、朝食を食べた(朝食はホテルのレストランだけど建物は別で、前日の昼にオムレツを食べたのと同じ場所)。さて、これからどうしよう。もう島内は大体見たしなあ、もう一度対岸行ってみる?もしかしたら羊が放牧されているかもしれないし。ということで対岸へ向かう。
前日の夕方に歩いたときには一頭もいなかったけれど、できたてっぽいフンがたくさん落ちていた。きっと日中は放牧されているはず、と思って行ってみたら、案の定いっぱい羊がいる。
どの羊も一心不乱に牧草を食べている。ただひたすら食べている。至近距離に近づくと逃げていくけれど、逃げるときも食べながら逃げていたように思う。頭を上げることはなく、とにかく食べながらのそのそ歩いていた。 おしっこしながら食べ歩いているのもいた。
ここの牧草地は海の潮をよくかぶる影響で塩分やら養分を多く含んでいて、プレ・サレと呼ばれている、とガイドさんが言っていた。その牧草を食べる羊は肉に臭みがなくとてもおいしいらしい。その羊自体のこともプレ・サレと呼ぶそうで、その肉を出すレストランは必ずメニューにプレ・サレと明記している、とも聞いていた。 逆に、「この地方の羊の肉」とか書いてあるのは、ほぼプレ・サレではないので気をつけるように言われた。
羊の背中には赤や緑の印がつけられていたけれど、これは出荷時期を管理するための印だろうか。
羊は皆おとなしく、動きもゆっくりでかわいらしいのだけれど、この後食肉として食べられてしまうと考えると悲しい気分にもなる。牧草を無我夢中で食べる様子も、まるで生きているうちにおいしいものをたくさん食べておこう、としているようにも見える。
食べられてしまうのはかわいそうだ、と思う一方で、ぜひ食べてみたい、とも思ってしまう。何しろ臭みのない羊肉なんて食べたことがない。
対岸に着いて、プレ・サレを出すお店がないか探していると、お店の名前にPre Saleとついているレストランがあった。前日来たときには全然気がつかなかったので、まさかすぐに見つかるとは思っておらず、喜び勇んで店内へ。
自分はプレ・サレの串焼き、妻はその日のランチメニューを頼んだ(詳細は忘れたけれどプレ・サレを薄く切って焼いたような料理だった気がする)。食べてみると、本当に臭みがない。というか、何も聞かされずに食べたら何の肉だか分からないぐらい。豚に近い感じだったかな?おいしかった~。 羊の肉が苦手な妻も、おいしいおいしいと言って食べていた。デザートのリンゴのパイも美味。ノルマンディ万歳。
2008年11月18日火曜日
フランス旅行その5~モン・サン・ミッシェルの朝~
翌朝は5:30頃に起きて、日の出前後のモン・サン・ミッシェルを撮りに対岸方面に出かけた。まだ夏時間であるため、7時でも真っ暗。7:30ぐらいになって、ようやく少しずつ明るくなってくる。
妻発見の撮影ポイントから、日の出前後に撮ったモン・サン・ミッシェル。これが7:50頃。
刻々と大気の色が変わっていくのが美しい。
妻は、シャッターを切る度にモニターで確認しては、肉眼には叶わないと言っていた。
その割に、一度カメラを持つとなかなか手放してくれない。
8:30頃撮った日の出。この30分ぐらい前には、ツアーとおぼしき観光バスも一台やってきて路肩に停車し、日の出直前になるとカメラを持った人がぞろぞろ降りてきた。日の出スポットとしても有名なのかもしれない。
そして、日本人と多くすれ違った。(団体客ではなく、独りの人が多かった。)
おはようございます、という言葉を何度発しただろうか。
日本では早朝に道ばたで人とすれ違っても挨拶はしないけれど、海外だとどういう訳だか日本人と分かると挨拶するものだ。
そして、相手も違和感なく応えるので、きっと多くの人に共通する感覚なのだろう。

しかし寒かった。冬用のコートを着ていったけれどそれでもまだ寒い。それでも夏時間なのだから不思議だ。
余談:
前の晩、お風呂に入ろうとしたらお湯が出ない。
妻は、ヨーロッパだし島だから早く入らないと、もしかしたらお湯が出ないかもしれない、と言っていた。
自分はそんなこと絶対ありえないと考えていたので、愕然とした。
妻は、やっぱり私の方が経験値が高い、としきりに独り言を言っていた。
この日、起きたらお湯は出るようになっていて、写真を撮りに行く前に入浴することができてほっとした。
2008年11月9日日曜日
フランス旅行その4~モン・サン・ミッシェルの夕暮れ~
15:30頃ホテルにチェックインをしに行くと、チェックインは16時からだと言われた。30分ほどお土産屋をぶらついて再度ホテルに行くと、今度は部屋の清掃が終わったかどうか分からなくて、清掃担当に電話しても出ないからもうあと30分待て、と言われた。フランスはサービスの質が非常に悪い、とガイドブックに書いてあったけれど、それはスーパーのレジ係とかの話で、さすがにホテルは普通なのかと思っていたけれど、そうでもないようだ。ただ、対応してくれた人は一応「I'm sorry.」とは言っていた。
16:40頃チェックインを終え、それから対岸へ向け出発。日本だと、この時期17時前後には真っ暗になるけれど、フランスはまだまだ明るい。 下の写真は、対岸とモンサンミッシェルの中間あたりから撮ったもの(実際は対岸に着いて戻ってくる途中に撮ったので、19時ぐらい?)
対岸側から見ると、モンサンミッシェルは北側。西側には牧草地が広がり、その上を鳥が飛び、遠くの方に同じぐらいの高さの木が並んでいる。なんだかとてものんびりした気分になる。
どこかで夕食を食べようかなと思っていたけど、結局その時は良さそうなお店が見つからず(大量の観光客を受け入れている大味な感じのレストランばかり)、スーパーで水を買ってモンサンミッシェルに戻ってきた。適当に島内のレストランに入り、自分は羊の薄切り肉を焼いた料理、妻は鮭のローストを頼んだけれど、どちらも大味。前菜に頼んだムール貝はまあまあおいしかったし、食後に頼んだチーズもおいしかったけれど、メインがイマイチで残念。
↓最初に頼んだ魚のスープ。ちょっと塩辛かったけど、おいしかった。
チーズについては、行きの車中でガイドさんから色々聞いていた。曰く、フランスではチーズ(フロマージュ)は食事の最後に食べるのが基本。デザートを食べた後か、デザートを食べずに食後に食べるか、どちらかで、チーズを食べる際はパンなどとは食べず、食べるとしたらレタスと一緒に食べる。何種類か運ばれてくるから、そこから数種類選んで、さらにどの順番で食べたらいいかを聞くべき、なぜなら繊細なチーズの前に味の強いものを食べてしまうと、味が分からなくなってしまう、とのこと。
このレストランでは選択の余地はまったくなく、チーズ3種類が盛られたお皿が置かれ、食べる順番を聞く間もなく店員さんは去って行ってしまった。店員さんを呼ぶのも面倒なので適当に食べたものの、チーズの名前ぐらいは聞いておこうと聞いてみたら、カマンベール、ポン・レヴェック、リバロとのこと。ノルマンディー地方の三大チーズだとガイドさんが言っていたものだ。注文しておいて良かった。結局フランスのレストランでチーズを食べるのはこれが最初で最後だった。
食事そのものはイマイチだったけれど、店員さんはフレンドリーな感じで、チーズを食べ終わると「No coffee?」と聞き、要らないと言うと、「No calvados?」と聞かれた。これもガイドさんが言っていたことだけれど、フランスでは満腹になったときにカルヴァドス(リンゴから作られたブランデーのような強いお酒)を少し飲んで(飲ませて)、胃の中にたまっている食物に穴を開けるような感覚を得ることで、さらに料理を食べる(食べさせようとする)風習があるらしい。思わず笑うと、店員さんも笑っていた。
食事が終わると、さすがにもう真っ暗。20時ぐらいまではやや明るい感じだったけれど、20:30には真っ暗になっていた(気がする)。修道院がライトアップされていたので、一度部屋に戻って三脚を持ちだし写真撮影。わざわざ三脚を持ってきて良かった。